AsanaとGoogleカレンダー連携:育児と仕事のタスクを「見える化」する時間管理術
限られた時間の中でキャリアと育児の両立を目指す際、多くのワーキングマザーやワーキングペアレントが直面する課題は、タスクの複雑化と時間管理の難しさです。仕事の納期、育児のスケジュール、家事、そして自分自身の時間。これらが混在し、何から手をつけて良いか分からなくなる経験は少なくないでしょう。
本記事では、この課題を解決するための具体的なアプローチとして、AsanaとGoogleカレンダーを連携させた「見える化」時間管理術をご紹介します。タスクを整理し、時間を計画的に割り当てることで、残業なしでも効率的に業務をこなし、育児にもゆとりを持って向き合えるようになるでしょう。
ワーキングペアレントが抱える時間管理の課題
仕事と育児を両立する中で、以下のような状況に心当たりはないでしょうか。
- タスクの混在と優先順位の不明確さ: 仕事の重要タスクと育児の緊急タスクが同時に発生し、どちらを優先すべきか判断に迷うことがあります。
- 予期せぬ割り込みによる計画の破綻: 子供の体調不良や保育園からの急な連絡など、育児には予測不能な要素が多く、立てた計画がすぐに崩れてしまうことがあります。
- 時間の見積もりと実績のギャップ: タスクにかかる時間を正確に見積もることが難しく、結果としてスケジュールがタイトになり、常に時間に追われる感覚に陥りがちです。
- ストレスと疲弊: 常に時間に追われ、タスクの抜け漏れを心配することで、精神的なストレスが蓄積されてしまうことも少なくありません。
これらの課題を解決するには、漠然としたタスクやスケジュールを具体的な形で見える化し、管理することが不可欠です。
AsanaとGoogleカレンダー連携による「見える化」のメリット
AsanaとGoogleカレンダーを組み合わせることで、以下のメリットが期待できます。
- タスクの全体像把握: Asanaで全てのタスクを一元管理し、仕事、育児、個人といったカテゴリごとに整理することで、抱えているタスクの全容を可視化できます。
- 優先順位の明確化: 各タスクに期日や優先度を設定することで、今何をすべきかが明確になり、迷いを減らします。
- 時間の見積もりと確保: タスクに具体的な所要時間を見積もり、Googleカレンダー上でその時間を確保する「タイムブロッキング」により、現実的なスケジュールを立てることが可能になります。
- 突発的な育児タスクへの柔軟な対応: 事前にバッファ時間を設けることで、急な育児タスクが発生しても、他のタスクへの影響を最小限に抑えられます。
Asanaを活用したタスクの詳細な「見える化」
まずは、Asanaを使って全てのタスクを洗い出し、整理する方法から始めます。
1. プロジェクトの設計
仕事と育児のタスクを明確に区別し、全体像を把握しやすくするために、Asana内でプロジェクトを複数作成することをお勧めします。
- 仕事関連プロジェクト: 例えば、「マーケティング戦略」「A社案件」「社内会議準備」など、業務内容に応じてプロジェクトを作成します。
- 育児・家事関連プロジェクト: 「保育園連絡事項」「子供の習い事」「週の献立」「買い物リスト」など、育児や家事に関するタスクをまとめるプロジェクトを設定します。
- 個人プロジェクト: 健康管理、自己学習など、個人的な目標に関するタスクを管理します。
2. タスクの洗い出しと詳細化
すべてのタスクをAsanaに洗い出します。
- 具体的なタスク名で入力: 「資料作成」ではなく「〇〇に関するA社向け提案資料作成」のように具体的に記述します。
- 期日と担当者の設定: 各タスクに必ず期日を設定し、自分以外の家族が関わる場合は担当者を明記します。
- サブタスクの活用: 大きなタスクは、実行可能な小さなステップ(サブタスク)に分解します。
- 例: 「企画書作成」
- 情報収集(30分)
- 構成案作成(60分)
- 初稿執筆(90分)
- 上長レビュー依頼(5分)
- 例: 「企画書作成」
3. カスタムフィールドによる情報付与
Asanaのカスタムフィールド機能を活用すると、タスクに付加的な情報を与え、より効率的な管理が可能になります。
- 所要時間目安: 各タスクに「所要時間目安(例: 30分、60分)」を設定します。これにより、隙間時間にこなせるタスクや、まとまった時間が必要なタスクを判別しやすくなります。
- 緊急度/重要度: 「高・中・低」や「緊急・重要」などのラベルを設定し、タスクの優先順位付けを視覚的に行います。
- エネルギーレベル: 「高(集中力が必要)」「中(ルーティンワーク)」「低(簡単な作業)」など、タスク遂行に必要なエネルギーレベルを設定することも有効です。疲れている時に低いエネルギーレベルのタスクを選んだり、集中力が高まっている時に重要なタスクに取り組んだりといった判断基準になります。
4. 繰り返しタスクの設定
毎週行う保育園の準備、月末の請求書処理、週次報告書作成など、定期的に発生するタスクは繰り返し設定を利用します。これにより、ルーティンタスクの入力漏れを防ぎ、常に最新のタスクリストを維持できます。
Googleカレンダーと連携した時間ブロックによる実行管理
Asanaで整理したタスクを、Googleカレンダーでいつ実行するかを明確にする「タイムブロッキング」を実践します。
1. 基本的なタイムブロッキングの実践
- Asanaで洗い出し、優先順位付けしたタスクのうち、特に時間を要するものや期日が近いものをGoogleカレンダーに「時間ブロック」として割り当てます。
- カレンダーには、「9:00-10:00 〇〇提案資料作成」「13:00-13:30 メール返信・確認」のように、タスク名と予定時間を具体的に記入します。
- 集中力を要するタスクは、邪魔の入らない時間帯(例: 早朝、子供が就寝後)に設定することを検討します。
2. 育児・家事タスクの明確化
- 保育園の送迎時間、習い事、食事の準備、入浴など、育児や家事に関する固定時間をGoogleカレンダーに明記します。
- 家族と共有しているカレンダーがある場合は、それにも反映させ、家族間の情報共有をスムーズにします。これにより、純粋に仕事に充てられる時間、家事に充てられる時間が明確になります。
3. バッファ時間の確保
予期せぬ割り込みに対応するため、スケジュールの中に意識的に「バッファ時間」を設けます。例えば、会議と会議の間に15分の空き時間を設ける、午前中の最後に30分のフリータイムを設定するなどです。この時間は、急なタスク、遅延したタスクのリカバリー、あるいは短い休憩に充てられます。
4. AsanaとGoogleカレンダーの連携方法
最もシンプルで効果的な方法は、Asanaでタスクの全体像と詳細を管理し、Googleカレンダーには「今週・今日の実行予定」を手動でタイムブロックとして入力することです。 自動連携ツール(IFTTTなど)もありますが、設定の手間や、カレンダーが多くのイベントで埋まってしまい視認性が低下する可能性も考慮すると、まずは手動での連携から始めることを推奨します。重要なのは、自分がどのタスクをいつ行うかを意識的に決めるプロセスだからです。
連携による効果最大化のポイント
1. 週次レビューと計画の実施
週末や週初めに、AsanaのタスクリストとGoogleカレンダーの予定を見直す時間を設けます。
- 完了したタスクの確認とアーカイブ
- 未完了タスクの再評価と再スケジュール
- 来週のタスク洗い出しと、それに基づくGoogleカレンダーへのタイムブロッキング
- 実績と計画のズレを確認し、次週の計画に活かす
このレビューを通じて、自身の時間管理の精度を高めることができます。
2. 家族との情報共有の促進
育児や家事に関するタスク、特に送迎や子供のイベントなどは、家族の共有カレンダーに明確に記載することで、家族間の連携を強化します。これにより、どちらか一方に負担が集中することを避け、必要に応じてサポートを依頼しやすくなります。
3. 集中と休憩のバランス
タイムブロッキングの中に、意識的に休憩時間を組み込みます。例えば、ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)を仕事の集中時間に取り入れることで、集中力の維持と疲労回復を図ることができます。短い休憩もGoogleカレンダーにイベントとして設定し、心身の健康を保つことを優先します。
ストレス軽減と心構え
完璧主義を手放し、ストレスを軽減することも重要な側面です。
- 「できること」から始める: 最初から全てのタスクをツールに移行しようとせず、まずは仕事の主要タスクや育児のルーティンタスクから「見える化」を始めてみましょう。
- 「やらないことリスト」の作成: 全てをこなすことは不可能だと認識し、今週は「〇〇はやらない」と意識的に決めることで、精神的な負担を減らします。
- 心身の健康を最優先: 時間管理は、より良い生活を送るための手段です。十分な睡眠や休息を確保するための時間も、意識的にスケジュールに組み込むようにしてください。
まとめ
AsanaとGoogleカレンダーの連携は、ワーキングマザーやワーキングペアレントが限られた時間の中でキャリアと育児を両立させるための強力な時間管理術です。タスクの「見える化」を通じて、何にどれくらいの時間がかかるのか、いつ何をするのかが明確になります。これにより、タスクの漏れを防ぎ、優先順位に基づいた効率的な作業を可能にし、さらには予期せぬ出来事にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
今日からこの「見える化」時間管理術を実践し、仕事の成果と育児の充実、そしてご自身の心のゆとりを手に入れるための一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。